食材の水分を活かして旨味と栄養を凝縮する調理法で人気の「無水鍋」。
その魅力から関心が高まる一方、素材やメーカーが多様で、製品選びに迷う方も少なくありません。
この記事では、そんな無水鍋選びの疑問を解消し、ご自身の暮らしに合った一台を見つけるための情報をお届けします。
最適な無水鍋を見つけるための一助となれば幸いです。
人気メーカーから選ぶ!おすすめ無水鍋
無水鍋を選ぶ上で、信頼できるメーカーの製品は魅力的な候補となります。ここでは、特に人気が高く、多くの方に支持されている代表的なメーカーと、その特徴的な製品をご紹介します。それぞれのメーカーが持つ哲学や得意とする素材、製品の個性などを知ることで、ご自身にぴったりの無水鍋が見つかるかもしれません。
Vermicular(バーミキュラ)
「世界一、素材本来の味を引き出す鍋」をコンセプトにする日本のブランド、バーミキュラ。職人技による0.01mm単位の精密加工が蓋と本体の間に極めて高い密閉性を生み、優れた無水調理性能を発揮します。高いデザイン性や豊富なカラーに加え、手厚いアフターケアも長く愛用できる魅力です。
代表モデル
オーブンポットラウンド、オーブンポット2
主な特徴
高い密閉性、美しいデザイン、耐久性のあるホーロー加工。特に「オーブンポット2」は、従来のモデルから軽量化が図られています。
Staub(ストウブ)
プロの料理人からも信頼されるフランスのブランド「ストウブ」。最大の特徴は、蓋の裏にある「ピコ」という突起です。食材から出た蒸気を旨味を含んだ水滴として全体に降り注がせる「アロマ・レイン」機能により、料理をふっくらジューシーに仕上げます。
代表モデル
ピコ・ココット ラウンド、Wa-NABE
主な特徴
アロマ・レインによるセルフベイスティングシステム、耐久性の高い内側のマットエマイユ加工(黒マットホーロー加工)、豊富なサイズとカラー、オーブン調理対応。縁の部分など鉄が露出している箇所は、錆防止と焦げ付きにくさ向上のため、シーズニング(油ならし)が推奨されることがあります。
BRUNO(ブルーノ)
暮らしを愉しむアイテムを提案するライフスタイルブランド「BRUNO」。人気の鋳物ホーローポットは、食卓が華やぐおしゃれなデザインとカラーが最大の魅力です。フタ裏の突起が蒸気を食材に還流させる機能を備え、美味しい無水調理を手軽に楽しめます。
代表モデル
鋳物ホーローポット (BHK266など)
主な特徴
鋳物ホーロー製、フタ裏のピコによる無水調理、おしゃれなデザインとカラー、IH・オーブン対応(フタ除く)、手入れが比較的容易。
Iris Ohyama(アイリスオーヤマ)
日本の生活用品ブランド、アイリスオーヤマの「無加水鍋」。アルミニウム製のため軽量で、セラミックコーティングでお手入れが簡単なのが大きな特徴です。手に取りやすい価格に加え、おしゃれなデザインも揃っているため、無水鍋を初めて使う方にも人気です。
代表モデル
COTOCOシリーズ(MKSN-S24など)、MKSシリーズ(MKS-20など)
主な特徴
軽量なアルミニウム製、セラミックコーティングなどによる手入れのしやすさ、IH対応、手頃な価格帯、モダンなデザイン。コーティングがあるため基本的にシーズニングは不要ですが、調理時の油の使用は推奨されています 。
人気メーカー別・無水鍋比較表
メーカー | 代表モデル | 主な素材 | サイズ | 目安重量 | 価格帯目安 | IH対応 | |
バーミキュラ | オーブンポット2 | 鋳物ホーロー | 浅型18cm | 1.9kg | 高 | 〇 | |
ストウブ | ピコ・ココット ラウンド | 鋳物ホーロー | 18cm | 2.87kg | 高 | 〇 | |
BRUNO | 鋳物ホーローポット | 鋳物ホーロー | W282mm×H144mm×D225mm | 3.9kg | 中 | 〇 | |
アイリスオーヤマ | MKSシリーズ | アルミニウム合金 (セラミック塗装等) | 20cm | 1.45kg | 低 | 〇 | |
無水鍋の魅力と特徴
無水鍋の主な特徴と魅力を具体的に見ていきましょう。これらの利点が組み合わさることで、日々の料理がより豊かで楽しいものになるかもしれません。
栄養を逃しにくい
食材に含まれる水分や、水に溶け出しやすいビタミンなどの栄養素が、調理中に流れ出てしまうのを最小限に抑えます。これにより、食材の栄養を効率よく摂取することにつながります 。
素材本来の豊かな風味を引き出す
食材自身の水分と旨みを利用して調理するため、余計な水分で味が薄まることなく、素材が持つ本来の濃い味わいを感じられます 。
少ない調味料でも深みのある味わいに
食材から出るエキスが鍋の中で凝縮されるため、塩分や他の調味料の使用量を控えても、しっかりとした美味しい仕上がりになります 。これは健康を意識する方にとっても嬉しいポイントです。
調理時間の短縮と省エネにも貢献
多くの無水鍋は保温性に優れており、一度鍋全体が温まると、その後は弱火や余熱だけでも十分に食材に火を通すことができます。結果として、調理時間の短縮や光熱費の節約にもつながります 。
「茹でる」「煮る」「蒸す」など一台で多機能
煮込み料理はもちろんのこと、製品によっては炊飯、蒸し料理、炒め物、さらにはオーブン調理まで可能なものもあります 。HALムスイのKING無水鍋®のように、1台で8通りもの使い方ができる製品も存在します 。
無水鍋は「健康的、美味しく、効率的」を同時に叶える調理法です。栄養と旨味を両立し、時短は光熱費の節約にも繋がります。単なる便利な調理器具というだけでなく、日々の食生活そのものをよりシンプルで豊かなものに変えてくれる可能性を秘めています。
無水鍋の選び方のポイント
無水鍋の魅力を最大限に活かすためには、ご自身の使い方に合った製品を選ぶことが重要です。ここでは、購入後に「こんなはずではなかった」とならないための、選び方のポイントを解説します。
素材で選ぶ
無水鍋の素材は、使い勝手や得意な調理法、お手入れの仕方まで左右する最も基本的な選択ポイントです。
アルミニウム製
軽量で熱伝導が良く、手頃な価格で初心者にも人気のアルミ製無水鍋ですが、焦げ付きや酸・アルカリに弱い場合があるため、調理したものを長時間保存しない等の注意が必要です。また、表面コーティングの有無やIH対応かを確認しましょう。
ステンレス製
丈夫で錆びにくく、耐久性が高いのが特徴です。保温性にも優れており、一度温まると冷めにくいので余熱調理にも向いています 。
ただし、熱伝導率はアルミニウムに比べて低いため、鍋全体が温まるまでに少し時間がかかることがあります。また、しっかりとした作りのものは重量がある場合もあります。
鋳物ホーロー製
鋳鉄にガラス質のホーローを焼き付けたもので、保温性が非常に高く、食材に均一にじっくりと熱を伝えるのが得意です。煮込み料理などに最適で、美しいデザインや豊富なカラーバリエーションも魅力です。
ただし、重量があるものが多く、衝撃によってホーローが欠けてしまう可能性もあるため、取り扱いには注意が必要です。
土鍋タイプ
日本で古くから使われている土鍋も、その特性から無水調理に近い調理が可能です。非常に高い保温性を持ち、食材にゆっくりと火を通すため、余熱調理にも向いています。
ただし、衝撃に弱く割れやすい点や、吸水性があるため使用後のお手入れに気を使う必要がある製品もあります。
サイズで選ぶ
家族構成や作る料理の量から考える
- 一人暮らしや二人暮らしであれば、直径18cmから22cm程度のものが使いやすいでしょう。
- 3人以上の家族や、一度にたくさん作って作り置きをしたい場合には、直径24cm以上の大きめのサイズが目安となります。
- 鶏を丸ごと煮込む、長い魚をそのまま調理するなど、作りたい料理の形状に合わせて、丸型だけでなく楕円型の鍋を検討するのも良い方法です。
対応熱源を確認する
- ガスコンロ専用か、IHクッキングヒーター対応か、あるいは両方に対応しているかを確認します。特にアルミニウム製の鍋は、底面にIH対応の加工がされていない限り、IHでは使用できない場合が多いので注意が必要です。
- 鍋ごとオーブンに入れて調理したい場合は、オーブン使用が可能か、また蓋のつまみや取っ手の素材がオーブンの熱に耐えられるかも確認しましょう。
蓋の密閉性や鍋底の厚さ
- 蓋の密閉性が高いほど、調理中に食材から出る水分や旨み、香りを鍋の中にしっかりと閉じ込めることができ、無水調理の効果を最大限に引き出せます 。
- 鍋底にある程度の厚みがあるものは、熱が鍋全体に均一に伝わりやすく、食材の一部だけが焦げ付いてしまうのを防ぐ効果が期待できます。
重さと取り扱いの容易さ
- 特に鋳物ホーロー製の鍋は重厚なものが多いため、シンクで洗ったり、棚に出し入れしたりする際の負担を考慮して、自分が無理なく扱える重さかを確認することが大切です 。
- ある程度の重さは安定性や保温性の高さにもつながるため、軽ければ良いというわけでもありません。素材の特性と重さのバランスを考慮しましょう。
- 取っ手の形状や大きさも、持ちやすさや調理中の安定感に関わるため、チェックしておくと良いでしょう。
無水鍋を選ぶ上で、素材・重さ・お手入れ・価格は、まず最初に考えるべきポイントです。購入前にじっくり検討しましょう。
無水鍋はこんな方におすすめ
素材本来の味を活かした料理を楽しみたい方
食材自身の水分と旨みで調理するため、野菜はより甘く、肉はよりジューシーに仕上がります。普段使っている食材の新たな美味しさを発見したい方におすすめです。
健康志向で、栄養を効率よく摂りたい、または薄味調理を心掛けたい方
水溶性のビタミンやミネラルの流出を抑え、食材の栄養をまるごと摂取しやすくなります。また、素材の味が濃く出るため、少ない調味料でも満足感が得られ、自然と塩分や油分を控えた調理につながります。
煮込み料理や蒸し料理、スープなどをよく作る方
高い保温性と密閉性により、食材にじっくりと均一に火を通すため、煮込み料理はより柔らかく、味も染み込みやすくなります。蒸し料理も得意とし、しっとりと仕上がります。
キッチンがコンパクトで、多機能な調理器具を求めている方
「茹でる」「煮る」「蒸す」「炊く」など、1台で何役もこなせる製品が多いため、調理器具をたくさん揃えるスペースがない場合にも重宝します 。
光熱費を少しでも抑えたい、効率的な調理をしたい方
保温性が高いため、一度温まれば弱火や余熱で調理が可能なので、調理時間の短縮だけでなく、ガス代や電気代の節約にもなります。
「家族のためにより美味しく栄養価の高い食事を作りたい」「忙しくても手軽に本格的な味を楽しみたい」。無水鍋は、こうした願いを持つ方にとって、日々の食生活を向上させる心強い味方となる調理器具です。
よくある質問
Q1:無水鍋は焦げ付きやすいと聞きますが、対策はありますか?
A:無水鍋で焦げ付かせないコツは、①調理前の十分な予熱、②中火以下の火加減(初めは弱火)、③食材から水分が出るまで蓋を頻繁に開けない、という3点が基本です。
Q2:シーズニングは必要ですか?どんな鍋に必要で、どうすればいいですか?
A:シーズニング(油ならし)の必要性は鍋の素材によります。鋳物ホーローでも鍋のフチが鉄むき出しの場合や、全体が鉄製の鍋は、錆止めと焦げ付き防止のため、使い始めと定期的な手入れが推奨されます。
鍋全体がホーローで完全にコーティングされている製品や、セラミックコーティングなどが施された製品は、基本的にシーズニングは不要です 。
シーズニングの方法は、一般的に鍋をきれいに洗って乾燥させた後、食用油を薄く塗り、弱火で数分間加熱するというものが多いですが、必ず各製品の取扱説明書で正しい方法を確認してください。
Q3:IHクッキングヒーターでも使えますか?
A:現在販売されている無水鍋の多くはIHクッキングヒーターに対応していますが、全てではありません。特にアルミニウム製の鍋は、底面にIH対応のための特殊な加工が施されていない限り、IHでは使用できない場合が多いので、購入前に必ず製品仕様の「対応熱源」を確認してください 。
まとめ
結局「最高の」無水鍋とは、ご自身のライフスタイルや予算に合った一台です。性能・デザイン・扱いやすさなど、何を重視するかを考え、この記事で触れたポイントを参考に具体的な使用シーンを想像すれば、単なる道具を超えた「良き相棒」がきっと見つかります。